アニマルブログ
2011年8月23日 火曜日
8月のコラム どうぶつのがんと向き合う
家族と暮らすどうぶつたちが以前よりずっと長生きできるようになった今、人と同じように高齢で起こる病気、とくにがんにかかりやすくなっている現状があります。
海外の統計では、実に2頭に1頭のわんちゃんががんに冒されてしまうという報告もあります。
そのような状況のなかで、獣医療の発展にともない、どうぶつも人と同じレベルのがん治療が受けられるようになりました。
しかしどれほど獣医療が進歩しても、どうぶつのがん治療では、「クオリティー・オブ・ライフ(生活の質)」の維持が最優先となります。
もちろん、初期段階や完治が望めるがんであれば、がんを治す治療を行います。
ある程度の副作用やリスクが伴う治療を行うこともあります。
ただ、治療はあくまで家族とともに毎日幸せな生活を送るためのもの。
完治が望めないようながんの場合には、生死に関わる積極的治療や重大な副作用のある治療をしてでも苦しくとも一日でも長く、という選択をとることはありません。
それよりも目前の死を受け入れつつ、一日一日を苦しみなく、穏やかに過ごすための治療を行います。がん治療は行わず、がんに伴う痛みや苦しみだけを取り除いてあげる対処療法を行うこともあるでしょう。
どうぶつは自身ががんであることを知りません。どれほどの時間が残されているのかと考えて不安に駆られたり、何をしておくべきなのかと未来を予測することをしません。
毎日の生活に幸せを感じ、「今」を生きています。
どうぶつのがん医療は、獣医師、病院スタッフ、ご家族が一つのチームとなって、どうぶつの「今」を平穏に、幸せにすごすために取り組む医療です。
どれほどがん医療が進歩しても、この基本概念は変わりません。
現在行われているどうぶつのがん治療には、外科療法、放射線療法、抗がん剤療法、免疫療法、また補助療法として、ホメオパシー、鍼灸、アロマセラピーなどがあります。
次回はそれぞれの治療法について解説します
2011年8月4日 木曜日
うさぎの去勢手術
うさぎさんの去勢手術です。
通常わんちゃんやねこちゃんは、全身麻酔の時には気管チューブを挿入して、人工呼吸器につないで、呼吸数や心拍数、酸素、二酸化炭素濃度、血圧などをモニターしながら手術を行うので安全、安心です。
うさぎさんは気管チューブを入れることができないので、呼吸数を調節することも、酸素や二酸化炭素濃度をモニターすることもできないので、わんちゃんやねこちゃんよりリスクのある手術となります。
ところが女の子のうさぎさんは子宮や卵巣の病気の発生率が非常に高く、本当はわんちゃんやねこちゃん以上に、健康なうちに不妊手術を行う必要があります。男の子のうさぎさんは、男の子同士で生活すると、なわばり意識からストレスを受けやすく、また女の子と一緒にするとすぐに子供を作ってしまう問題があり、いずれも一緒に放し飼いにすることができません。うさきさんの飼い主さんは、手術のメリット、デメリットを充分に理解した上で、手術を考慮していただきたいと思います。
今回2頭のうさぎさんの手術。
ICUでしっかり保温しつつ、目が覚めるのを待っているところ。
うさぎさんは本当にかわいい、、、。大好きです。
2011年8月4日 木曜日
痛くない手術
痛みを最小限に抑えることは、今や人の医療でも動物の医療でも当然のことで、痛みに対するケアは医者の義務であるとも言えます。現在痛みに対する研究が進んで、痛みをしっかりと抑えることは、患者の苦痛やストレスを緩和するだけでなく、術後の回復を早めたり、免疫機能を回復させることが解っています。
動物は痛みを直接訴えることができないので、なおさら獣医師や看護士が常に意識して少しでも痛みを感じさせないケアを行う必要があります。
当院では積極的に痛みに対するケアを意識して、フェンタニルパッチをよく使用していますが、モルヒネの10倍の効力のある麻薬性鎮痛薬です。麻薬と聞くと何か常習性があったり、体に悪いイメージを持たれるかもしれませんが、その心配は全くありません。価格が非常に高いのが唯一の難点です。
術後、痛みの管理が不十分で、傷口を気にしている患者さんを見ると、大いに反省します。
大きな手術の後でも、尻尾を振りながら飼い主さんと面会する患者さんの姿を見ると、ちゃんと痛みの管理ができたとほっとします。
2011年8月1日 月曜日
臨床病理学セミナー
土日お休み頂きまして、恒例のJAHA国際セミナーに参加しました。
国際セミナーは3ヶ月ごとに海外の講師を招致して3日間の集中セミナーを行います。
未熟ではありますが、獣医通訳としてセミナーに参加しています。
今回は日本人の講師で通訳不要であったため、3日のところ2日の集中講義でしたが、得ること盛りだくさん。
患者様には病院を不在にすることでご迷惑をおかけしますが、よりよい診療を行うことができるよう邁進してまいりますので、ご理解の程宜しくお願い致します。
次回のセミナーは10月、海外の講師を招致して内分泌についての講義です。通訳で病院を不在にする日があります。
近くなりましたら不在日のアナウンスを行います。
2011年8月1日 月曜日
太郎ちゃんが天国へ逝きました
我が家の愛犬太郎ちゃん。16歳齢でした。歯科医院のお庭でのんびり生活していました。
通り行くお散歩仲間に声を掛けていただいたり、患者さん達におやつをもらったり、、。
耳が遠くなって、寝ている時間が増えて、、。
それでも息を引き取る前の日までお散歩に行ったね。
太郎ちゃんからたくさんの幸せをわけてもらいました。本当にありがとう。
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