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猫の病気
甲状腺機能亢進症
中高齢の猫で起こりやすい、ホルモンの異常が原因となる病気です。
家族からは「年寄りの割に元気になった」と捉えられがちですので、病気として認識されにくい病気です。
症状チェック
- 目がらんらんとしている
- 食欲が異常にあるが痩せてきた
- よく水を飲み、尿量も多い
原因
気管の両脇にある甲状腺からは代謝を司る甲状腺ホルモンが分泌されています。
このホルモン量が多すぎることによって代謝が亢進したような状態になります。例えるなら「マラソン選手が全速力で24時間走っている状態」。食欲は増えるのですが、代謝に追い付かず体重が減少します。その他、目がらんらんとしている、夜中に大声で鳴く、心拍数が早い、下痢、または便秘がちになる、よく水を飲む、などがよく認められる症状です。
治療方法

臨床症状と身体検査所見からこの病気が疑われたら、一般血液検査に加えて甲状腺ホルモン値を測定します。 甲状腺機能亢進症になると、血圧が上昇して心臓の筋肉が肥大し、二次性の肥大型心筋症を併発することもあり、レントゲン検査や超音波検査を行うことで病気によって起こる身体の中での変化を把握します。 治療は手術によって肥大した甲状腺を摘出する方法、薬によって過剰なホルモンを抑える方法、放射性物質を投与する方法(日本では一般的ではない)があり、一般状態や症状にあわせて治療法を選択します。
糖尿病
糖尿病とは、血糖値が高くなりすぎることによって身体に様々な弊害が及ぶ病気です。
初期には食欲が旺盛でよく水を飲むようになり、尿量も増えますが、次第に食欲が減退し、嘔吐や脱水の症状が現れます。
糖尿病に続発して細菌性膀胱炎、肝障害、膵炎など、重篤な病気を併発する可能性があることから、早期に発見し、迅速に治療を開始することが大切です。
症状チェック
- トイレの回数が増えた
- 水を良く飲むようになった
- 急に痩せた
原因
膵臓から分泌されるインスリンによって血糖値はコントロールされています。
糖尿病には膵臓からインスリンが分泌されなくなるⅠ型(犬に多い)のタイプと、インスリンが上手く働けなくなるⅡ型(人、猫)のタイプとがあります。インスリンが上手く働かなくなる原因には肥満や感染などの環境因子が関わっています。Ⅰ型では生涯インスリン療法が必要となりますが、Ⅱ型であれば、初期にインスリン療法が必要であったとしても、ダイエットや食事療法などで完治することもあります。
治療方法

糖尿病と診断されたら、その他の合併症の有無を確かめ、血糖値をコントロールするためのインスリン療法に加えて合併症の治療や食事療法を合わせて行っていきます。猫ではⅡ型が多く、ダイエットや食事療法だけで維持できることもあります。屋内で生活する猫ちゃんは肥満になりやすく、猫じゃらしなどで積極的に運動させたり、ダイエット食で体重管理をしっかり行うことで糖尿病を予防することができます。
リンパ腫
猫が罹患する腫瘍の中で最も多いのがリンパ腫です。
猫のリンパ腫には、発生部位によって多中心型(肝臓、脾臓に発生するもの)、消化管型(腸管に発生するもの)、縦隔型(胸に発生するもの)などがあり、発生部位によって臨床症状も異なっています。
白血病ウイルスを持っているとリンパ腫を発症するリスクが非常に高くなります。
症状チェック
- 体重が減ってゆく
- 元気が無く、だるそうにしている
- 熱があるようだ
原因
血液中の白血球にはいくつか種類がありますが、その中でもリンパ球は免疫機構に欠かせないものです。このリンパ球が腫瘍化するのがリンパ腫です。
白血病ウイルスを保持している猫がリンパ腫を発症すると、その多くは縦隔型で、胸に水が貯まって呼吸が苦しくなるなどの症状が出ます。
近年では室内飼いによって白血病ウイルスを保持している野良猫との接触が無くなったり、適切な予防措置によって白血病ウイルスを保持している猫の数が少なくなりました。その結果縦隔型のリンパ腫の発生率は減少しましたが、その代わりに消化管型や多中心型のリンパ腫の発生率が増えています。
治療方法

動物に発生する腫瘍の中で抗がん剤が有効であるものは非常に少ないのですが、リンパ腫は抗がん剤によく反応します。 リンパ腫のタイプや進行度に合わせて治療のプログラムを組み立てます。抗がん剤と聞くと、辛くて苦しい治療と認識されがちですが、動物のがん治療は、生活の質を維持し、「日々家族と共に幸せに穏やかに過ごす為の治療」です。副作用を最小限に、効果を最大限に高めるようその子その子に合せて治療を行います。
腎機能障害
腎臓は身体の老廃物を体外に排出する役割のほか、身体の水分バランスを整えたり、血圧や造血調節にも関与している大切な臓器です。腎臓の機能が衰えると、身体の老廃物が蓄積する尿毒症の他、脱水や貧血など様々な症状が現れます。
早期に発見し、適切な治療を行うことで、より長く、安定したシニアライフを過ごすことができます。
症状チェック
- 食欲がない
- 嘔吐する回数が多い
- 体重が減っている
腎機能障害の原因
猫の腎機能障害には加齢による腎機能の衰えのほか、感染症、腎炎、アミロイドーシスなどのさまざまな原因があり、検査によって原因を特定する必要があります。腎機能の低下は緩やかに進行する為、家族に気付かれにくく、また腎臓もよほど悪くならない限り症状が現れにくいものです。
腎機能障害の治療方法

腎臓を一度壊してしまうと、機能を回復させることは出来ません。毎日のケアと定期的な健康診断で予防しなくてはいけません。 年老いた猫は、それだけで腎機能が弱るもの、と考えておきましょう。6歳を越えた辺りから、定期的な健康診断をし、8歳を過ぎればキャットフードを低タンパクの老猫用に切り替えます。 腎機能を早い段階で評価できるのは尿検査です。血液検査と合せて行うことでより詳細な状態を確認します。また、レントゲン検査や超音波検査によって腎臓の形や内部構造を調べます。 初期の段階では処方食で維持します。これだけで寿命がだいぶ変わります。脱水や嘔吐の症状が現れているようでしたら、定期的な皮下点滴や内服薬で維持します。
口内炎
猫ちゃんの歯肉口内炎は、歯肉のみならず舌や粘膜全体に炎症が及ぶことが多く、慢性化すると潰瘍を起こす、厄介な病気です。
進行すると、激しい痛みから食餌がうまくとれなくなり、脱水や体重減少などの症状が現れます。
症状チェック
- 口臭が強い
- よだれを垂らす事が多い
- 歯ぎしりをする
口内炎の原因
歯肉口内炎の原因は口内の傷やウイルスによる感染症、歯石・歯垢の蓄積・歯の破折や残根の放置など様々な事が原因で起こります。
猫エイズや猫白血病ウイルスを保持している場合には、免疫力や抵抗性の低下により歯肉口内炎に罹患しやすくなります。
口内炎の治療方法

歯石がついていることが原因となっていれば、全身麻酔下で歯石除去と歯のポリシングの処置を行います。しかし多くの場合、この処置単独で完治することは少なく、ウイルスや免疫疾患などの基礎原因に対する治療を合わせて行う必要があります。 特に免疫の異常が関与しているタイプの歯肉口内炎では、身体が「歯」に対して攻撃し、炎症を引き起こすので、全ての歯を取り除かなくてはならないような場合もあります。